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2008-04-24

風のたより VOL.909

教え子

ワン達を散歩させているころは小降りだった雨も、タクヤ君が来るころはかなり激しくなっていた。「いつものところで降りるか?それとも学校まで行こうか?」と一応聞きく。「う~ん、え~と」と一応考えるが、まぁ答えは決まっているわなぁ。

ログハウスは基本的に樋がなく、我が家のような小さなものでも、屋根は結構大きく傾斜も45度なので、今日のように激しく降ると、窓の外は滝のようになる。その下の満開のマーガレットが無残にうちひしがれている。可哀そうだけど、どうしようもないね。

そんな中、俺はセッセとランチの下ごしらえをする。と言っても、お客様歓迎ランチの定番「スパゲッティ・カルボナーラ」「トマトのガスパチョサラダ」「アボカドとエビのブルスケッタ」なので手なれたものだ。ここ1年はこれで通した。そろそろ新メニューを考えんといかんなぁ。

224 教え子のSG君(20歳、学習障害)と母親がやってきた。5年ぶりに会うSG君は、脊は俺より高くなり、なかなかのイケメン男になっていた。しかし、周囲を警戒しオドオドした表情は子どものころとかわらない。それでも、俺の顔を認めると、はにかむような笑顔と共に、表情がサーと緩んでいくのを見て取った。「あ~、彼に会えてよかった」と思った。彼もそう思ったに違いない。この瞬間で今日の目的は達せられたといっていい。

彼は、養護学校高等部を卒業後、大手スーパーのパート従業員として働いているが、2年経った今も正雇用には至っていない。テストがクリアーできないそうだ。彼は、自分から誘ったりできる状況になく、職場で人間関係を作ることもできず、休日を一緒に過ごす友達もいないようだ。彼を理解し積極的に接してくれる相手でないと人付き合いは難しいだろう。大人になった時孤立してなければいいがと心配していたが、どうもそんな状況になっているようだ。

それでも彼は、まじめに働き、稼ぎは全て母親に渡し家計を助けているという。彼の楽しみは絵を描くこと。母親は、できるだけ人に見せるように勧めるが、彼は嫌がった。しかし、2月に「これを柳原先生に送る」と自ら言いだしたそうな。教師冥利に尽きるねぇ。嬉しかった。彼の積極的な行動が、5年ぶりの再開に繋がった。これを大事にしてもらいたいね。

Photo 礼状に絵の感想など書いたのだが、大いに感ずるところがあったようで、絵のテーマも画風も少し変わってきたという。それが、これ。今日、持ってきてくれた。自分の中にある街なんだそうです。おおっ、まさにワールドができてるねぇ。ここからたくさんの物語が生まれそうだ。シリーズものの絵本ができそうだ。

この彼の豊かな感性に気づき、日常的に交友できる人が現われないかなぁ。

コメント

おはようございます。
すごく繊細で大胆な絵ですね~。

彼は積極的な交流は苦手だそうですけど、
外に出て働くこともできているし、
絵の中で世界を飛び回っているみたいです。

おはようございます。
これは、素晴らしい作品です!!

他の人にない、自分の世界をキチンと持ててるのが凄いです。
教えてもらえる事が、たくさんありそうです。

私は、社会に出てから、その社会に馴染めず、漫画を描いて自分の世界を作って発散させてました。
少し、気持ちわかります。

くーみんさん、こんにちは!

彼は完全自立できるかどうか、とても微妙な位置にいると思います。
生活できるだけの収入を得ることができるか、社会・職場に適応できるか、結婚して家庭を営めるか・・・
がんばれだけでは解決せず、そこまで高めるためのサポートがあればいいのですがねぇ。
重度重複障害者は、それなりのボランティアサポートがあったりしますが、SG君のようなケースはサポートが受けにくいでしょうね。
サポートというよりは、学習の場といった方がいいかなぁ。

TIDEさん、こんにちは!

実は昨日、TIDEさんのことも話題に上り、彼はTIDEさんのイラスト集をくいいるようにみていました。
彼はこのブログをみると思うので、TIDEさんの言葉は、励みになることでしょう。

彼は「僕にはなんで人が描けないんだろう」と悩んでいるようです。
TIDEさんの、書いたほのぼのとした人たちがずいぶん刺激になったようです。
機会があれば、会ってやってくださいね。

SG君ハンサムですね~。彼の絵を見た人はきっとぱぁ~っとストーリーが浮かびそう!それぞれの人の今の思いや立場から、たくさんのストーリーが生まれると思います。私もSG君にいつか会いたいな~。年齢を超えた友人になれるかな。
前にもお話しした、私の友人の息子さんが(兵庫県に住む高校生)同じ学習障害なのですが、彼も絵や粘土で作る作品がとてもすばらしいです。彼はいつも人の気持ちを一番に考える優しい心も持ち主で、見習う事がたくさんあります。同じ年頃の子とはうまく会話のキャッチボールができないようですが、彼の障害を理解している人とはゆっくりしっかり会話ができます。SG君もハルボン倶楽部さんといるときはホッとするのでしょうね。今の彼の職場の環境は決して楽しいものではないかもしれないけど、一人でも多くの理解者を増やしていき、その人にうれしかった事でもつらかったことでも自分の報告をすることができれば生活は楽しいものになっていくような気がします。こうしてハルボン倶楽部さんに何年かに一度でも会って話すことが実はとっても大きな意味があるのだと思います。

のりへいさん、今晩は!

≪私もSG君にいつか会いたいな~。年齢を超えた友人になれるかな。≫

この、のりへいさんの書き込みをみたら、彼は心から喜ぶことでしょう。そして自信を持つことでしょう。おそらく、彼はこんな風に言ってもらったことはないでしょうから・・・

2月に絵を送ってきたとき、これは彼が俺に会いたいというメッセージだと思いました。
それは、相当閉塞的な状況にあるからだろうと思いました。

会えてよかった。
心からそう思っています。

彼は、俺に背中を押してほしかったのだと思います。
俺に叱って欲しかったのかもしれませんね。